入会の手引き
電気工作物の区分
電気工作物は、電気事業法で次のように区分されています。
(1)事業用電気工作物
a.電気事業の用に供する電気工作物
b.自家用電気工作物
(一般用電気工作物および電気事業の用に供する電気工作物以外のもの)
(2)一般用電気工作物
「自家用電気工作物」の自主保安について
自家用電気工作物を設置する者は、その電気工作物の工事、維持および連用に関する保安を確保するため保安規程を定め、かつ保安の監督をさせるための主任技術者を選任しなければならないことになっています。
つまり、自家用電気工作物設置者にあっては、「自主保安体制」を確立することが法律で定められています。
主任技術者業務の委託制度
中小規模の自家用電気工作物を設置する事業場では、有資格の主任技術者を選任したり、または技能経験豊富な者を選任すること(許可主任技術者という)が施設の規模や内容からみて困難(経済的にも)な場合も考えられます。
そこで「経済産業省告示で定められた特定の者(電気管理技術者)に、その自家用電気工作物に関する保安業務を委託契約することが出来る」制度が設けられています。
これを「委託制度」(外部委託承認制度)といいます。
電気管理技術者の要件
電気管理技術者としての要件は、次の(1)から(6)の要件を全て満たす必要があります。
(1)電気主任技術者免状の交付を受けていること。
(2)電気工作物の工事、維持または運用に関する実務に従事した期間(電気主任技術者免状の交付を受けた日以前における期間については、その2分の1に相当する期間)が通算して、次に掲げる期間以上であること。
イ.第1種電気主任技術者免状の交付を受けている者 … 3年
ロ.第2種電気主任技術者免状の交付を受けている者 … 4年
ハ.第3種電気主任技術者免状の交付を受けている者 … 5年
(3)次の機械器具を所有していること。
イ.絶縁抵抗計
ロ.電流計
ハ.電圧計
ニ.低圧検電器
ホ.高圧検電器
ヘ.接地抵抗計
ト.継電器試験装置
チ.絶縁耐力試験装置
発電所の電気管理業務を受託する場合はさらに、次の計測器を所有するか、または受託先で備え付けてもらう必要があります。
イ、ロ、ハ、二、ホ及びヘについては、3年以内に校正したもの又は新品のもの。
リ.騒音計
ヌ.振動計
ル.回転計
ただし、トとチの試験装置に限り当協会(各支部)で共用機器として保有しているので、 これらを借用使用することが認められています。各機械器具の準備については当協会でもお世話します。
(4)業務遂行上支障のない健康体であること。
(5)他の職についていないこと(保安管理業務の専業)。
(6)主たる連絡場所が受託先事業場に2時間以内に到達し得るところにあり、かつ緊急を要する場合には電話等により、直ちに連絡を受け得る措置を講じていること。
電気管理技術者になるためには
前項の「電気管理技術者としての要件」については九州保安監督部により経済産業省告示及び内規に適合するかの審査を受けなければなりません。
審査に合格するとはじめて中小規模自家用電気工作物の設置者(以下設置者)と保安管理業務の契約ができ、前項の外部委託承認制度により「電気主任技術者外部委託承認申請書」を設置者名で九州産業保安監督部長に提出し、承認された時点で電気管理技術者として認められます。
これらの手続き書類の用紙一式は当協会で準備しております。
審査の手続きと時期
電気管理技術者に就業するには、機械器具や試験装置を購入し、今まで従事していた職業を離れる(退職)必要があります。
これらの事を済ませた後で先ほどの6要件が満足されない場合は種々問題の起こる恐れがあるので、退職前に資格審査の条件が満足されているかを当協会に相談(確認)後、次の書類について当協会を通じ九州産業保安監督部の審査を受けてください。
(1)電気主任技術者免状のコピー
(2)履歴書
(3)健康診断書
(4)実務経歴書一覧表
(5)実務経歴証明書
(6)他に職業を有しないことの説明書
(7)測定器および試験装置一覧表又は計測機器の購入見積書
なお、実務経歴証明書への勤務先代表者の押印と割印は何度もいただくことが困難と思われますので、本部及び九州産業保安監督部の確認を受けた後で押印いただくようお願いします。
資格審査のポイント
審査で重視されるのは「電気工作物の工事、維持または運用に関する保安業務に従事した期間と業務内容」です。
特に、電気主任技術者の行うべき業務にどの程度従事していたかがポイントです。
したがって電気保安業務以外を兼務していた期間はその密度が考慮される場合があります。
また、電気工事の実務に従事していた場合は、実労働時間を具体的に記載の上、雇用主(代表者)の証明の他に、工事発注元との契約書の写し等が必要となります。
当協会への入会案内
(1)入会されると
委託管理を受けた自家用電気工作物の保安維持に従事する場合、個人単独で電気管理技術者の業務を行うことは、病気、不在時または緊急時に委託管理を受けた多数の自家用施設に保安上支障をきたす恐れがあります。
当協会は、会員相互に応援できる体制をととのえ、互いに技術の向上を図るとともに、賠償保険に入り会員の過失事故に対する賠償負担を軽くする等、各種の利点があります。
従って当協会に入会されますと、保安維持に万全を期せます。
(2)入会紹介者制度
当協会への入会には、当協会在籍3年以上の正会員1名(入会を希望する支部所属会員)の紹介が必要です。
紹介者は入会手続き段階から就業に至るまでのアドバイスと保証人的役目をします。
なお依頼者のあてが無い場合は、当協会の各支部に相談してください。
(3)入会の時点
九州産業保安監督部に提出した「電気主任技術者外部委託承認にかかる管理技術者資格審査」が受理された時点で本部から所属支部へ、所属支部から本人へ連絡が行きます。
申請者の営業活動等を通じて設置者との間で管理受託契約が成立した時点で、設置者名義で九州産業保安監督部に「主任技術者外部委託承認申請書」他を提出しますが、これが承認されて、はじめて「正会員」となります。
注)この時点で、今まで従事していた職業から完全に離れて(退職し)、専業として電気保安管理業務に従事していただきます。また、当協会から実務経歴証明書作成支援や支部での現場指導を受けようとするときに、入会金5万円を納入していただきます。
※詳細については、本部・各支部事務局へお尋ねください。